テキスト抽出ブロック(Document Extractor)とは
テキスト抽出ブロック(Document Extractor)は、Difyのワークフローツールの一部として提供されている機能で、アップロードされたドキュメントや指定されたウェブページから特定のテキストを抽出することができます。この機能を使えば、大量の文書から必要な情報だけを効率的に取得し、AIアプリケーションの開発や分析に活用できます。
テキスト抽出ブロックの主な特徴
多様なドキュメント形式に対応
PDF、Word、PowerPoint、Excel、Markdownなど、様々な形式のドキュメントからテキストを抽出できます。ウェブページからのスクレイピングも可能です。
柔軟な抽出オプション
全文抽出だけでなく、キーワードやパターンに基づいた部分抽出、構造化データの抽出なども可能です。抽出したデータは後続の処理で活用できます。
セマンティック検索
意味ベースの検索により、単純なキーワードマッチングだけでなく、内容の意味に基づいて関連部分を抽出できます。
LLMとの連携
抽出したテキストを大規模言語モデル(LLM)に渡して処理することで、要約、分析、質問応答などの高度な処理が可能になります。
テキスト抽出ブロックの基本的な使い方
ステップ1: ブロックの追加
ワークフローエディタで「Document Extractor」ノードを追加します。
ステップ2: 入力ソースの設定
ドキュメントのアップロードまたはURLの指定を行います。
ステップ3: 抽出方法の選択
全文抽出かクエリベースの部分抽出かを選択します。
ステップ4: パラメータの設定
抽出方法に応じて、必要なパラメータを設定します。
ステップ5: 出力先の設定
抽出結果をどの変数や後続処理に渡すかを設定します。
ステップ6: テストと実行
設定を確認し、テスト実行して結果を確認します。
テキスト抽出ブロックの具体的な活用例
1. 文書の要約作成
長文のドキュメントからテキストを抽出し、LLMを使って要約を生成します。これにより、大量の文書を効率的に把握することができます。
2. Q&Aシステムの構築
社内マニュアルや製品仕様書などからテキストを抽出し、それに基づいて質問応答システムを構築します。ユーザーの質問に対して、関連する情報を提供できます。
3. 競合分析の自動化
競合他社のウェブサイトやプレスリリースからテキストを抽出し、製品機能や価格、マーケティングメッセージなどを自動的に分析します。
例えば、複数の競合ウェブサイトから「料金プラン」や「機能一覧」のセクションだけを抽出し、比較表を自動生成することができます。
4. データからのインサイト抽出
調査レポートや分析文書から特定のデータポイントやトレンドに関する記述を抽出し、ビジネスインサイトとして整理します。
5. 契約書の条項チェック
契約書からテキストを抽出し、特定の条項や条件に関する部分だけを取り出して確認します。これにより、法務レビューの効率化が図れます。
支払い条件、解約条件、機密情報の取り扱いなど、重要な条項を自動でハイライトし、問題点があれば指摘することができます。
テキスト抽出を最大限活用するためのコツ
- 適切な前処理を行う:ドキュメントの種類や形式に応じて、適切な前処理オプションを選択しましょう。
- クエリを具体的に設計する:部分抽出を行う場合は、できるだけ具体的なクエリを作成し、必要な情報だけを取得しましょう。
- 複数のブロックを組み合わせる:単一のドキュメントから複数の情報を抽出する場合は、複数の抽出ブロックを使用することも検討しましょう。
- LLMとの連携を活用する:抽出したテキストは、そのままではなく、LLMを使って加工や分析を行うと価値が高まります。
- 定期的な更新を設定する:ウェブページからの抽出の場合は、定期的に更新されるようにスケジュールを設定しましょう。
まとめ
テキスト抽出ブロック(Document Extractor)は、さまざまなソースからテキストデータを効率的に抽出し、AIワークフローに統合するための強力なツールです。多様なフォーマットに対応し、柔軟な抽出オプションを提供することで、ドキュメント処理の自動化や情報抽出の効率化に大きく貢献します。
特にLLMと組み合わせることで、単なるテキスト抽出から一歩進んだ、インテリジェントなドキュメント処理システムを構築することができます。ビジネスにおける意思決定の迅速化や、情報アクセスの民主化に役立つでしょう。