【初心者向け】Difyの「変数集約ブロック」完全解説 – ワークフローをスマートに整理するテクニック

Dify

【初心者向け】Difyの「変数集約ブロック」完全解説 – ワークフローをスマートに整理するテクニック

Difyと変数集約ブロックの基本

Difyは、プログラミングの知識がなくてもAIアプリケーションを簡単に作成できるノーコードプラットフォームです。様々な「ブロック」を組み合わせることで、複雑な処理も視覚的にわかりやすく設計できることが特徴です。

ワークフローを作成する際、処理の分岐や条件分けを行うと、複数の流れ(ブランチ)が発生します。そんなときに重要な役割を果たすのが「変数集約ブロック」です。

ポイント

Difyのワークフローでは、「変数」を使ってデータを保存・受け渡しします。分岐した処理の結果をまとめて次の処理に渡したいとき、変数集約ブロックが大活躍します。

変数集約ブロックとは?

変数集約ブロック(Variable Aggregator)は、名前の通り「変数を集約する」ためのブロックです。複数のブランチの出力結果を1つの変数にまとめて、次のブロックへ渡す機能を持っています。

公式ドキュメントによると、「マルチブランチの変数を一つの変数に集約し、ダウンストリームノードの統一設定を実現します。」とされています。

なぜ変数集約ブロックが必要なのか?

ワークフローが複雑になると、処理の分岐(IF/ELSEブロックの使用など)によって複数の流れが生まれます。各ブランチでは異なる処理が行われますが、最終的には1つの流れに統合して処理を続けたいケースが多いでしょう。

変数集約ブロックがない場合、分岐した各ブランチからの変数を個別に処理する必要があり、ワークフローが複雑で管理しづらくなってしまいます。

ブランチA
結果: 変数A
ブランチB
結果: 変数B
変数集約
統合: 変数C
次の処理
(変数Cのみ参照)

変数集約ブロックのメリット

  • 複雑なワークフローをシンプルに整理できる
  • 後続の処理で参照する変数が1つになるため管理が楽
  • どのブランチが実行されても統一的な処理が可能
  • ワークフローの可読性と保守性が向上

変数集約ブロックの使い方

変数集約ブロックの基本的な使用方法を見ていきましょう。

1

変数集約ブロックの追加

ワークフローエディタの「ブロック」パネルから「変数集約」を選択し、キャンバスにドラッグ&ドロップします。

2

変数の割り当て設定

「変数を割り当てる」を「+」を押して追加して前のブロックの変数を入れるとつなげれるようになります。 具体的には、集約したい変数を選択し、新しい変数名を割り当てます。

3

接続の設定

各ブランチの出力を変数集約ブロックに接続します。複数のブランチからの接続が可能です。

4

出力先の設定

変数集約ブロックの出力を次のブロックに接続します。これにより、集約された変数が次のブロックに渡されます。

注意点

変数集約ブロックは、どのブランチが実行されても同じ変数名で結果を参照できるようにするためのものです。複数のブランチが同時に実行される設計の場合は、最後に実行されたブランチの値が採用されます。

具体的な活用例

変数集約ブロックが特に役立つ具体的な活用シーンを見てみましょう。

例1:ユーザーの選択に応じた異なる処理結果の統合

シナリオ

ユーザーがテキストの「フォーマル化」または「カジュアル化」を選択すると、それぞれ異なるAI処理を行い、結果をまとめて表示する。

  1. 開始ブロック:ユーザーの選択(フォーマル/カジュアル)と入力テキストを受け取る
  2. 条件分岐(IF/ELSE):選択に基づいて処理を分岐
  3. LLMブロック(フォーマルルート):テキストをフォーマルな表現に変換
  4. LLMブロック(カジュアルルート):テキストをカジュアルな表現に変換
  5. 変数集約ブロック:どちらの処理結果も「convertedText」という同じ変数名に集約
  6. 終了ブロック:集約された「convertedText」を出力

例2:複数の情報源からのデータ統合

シナリオ

ユーザーの質問に応じて、Webから情報を検索する場合とナレッジベースから情報を取得する場合を分岐し、結果を統合して回答する。

  1. 開始ブロック:ユーザーの質問を受け取る
  2. 質問分類器:質問内容を分析し、情報ソースを判断
  3. 検索ブロック:Webから情報を取得(一方のブランチ)
  4. 知識取得ブロック:ナレッジベースから情報を取得(もう一方のブランチ)
  5. 変数集約ブロック:どちらの情報も「retrievedInfo」という変数に集約
  6. LLMブロック:集約された情報をもとに回答を生成
  7. 終了ブロック:生成された回答を出力

効果的な使用のためのポイント

変数集約ブロックを効果的に使うためのコツ

  • わかりやすい変数名を設定する:集約後の変数名は、内容が直感的にわかるものにしましょう
  • 必要な変数だけを集約する:後続の処理で本当に必要な変数だけを集約し、不要な情報は省きましょう
  • IF/ELSEブロックと組み合わせる:条件分岐と組み合わせることで、ワークフローの構造がシンプルになります
  • コメントを活用する:各ブロックにコメントを追加して、どの変数がどのように集約されるのかを明記しておくと、後から見たときに理解しやすくなります

他のブロックとの比較

Difyには変数を扱う他のブロックもあります。それぞれの違いと使い分けを理解しましょう。

ブロック名 主な機能 使うタイミング
変数集約ブロック 複数のブランチからの変数を一つにまとめる 分岐した処理の結果を統合するとき
変数代入ブロック 書き込み可能な変数に他の変数を代入する 変数の値を別の変数に移したいとき
パラメータ抽出ブロック テキストから特定のパラメータを抽出する ユーザー入力から特定の情報を取り出したいとき
テンプレートブロック 変数を含むテキストテンプレートを作成する 変数を含む定型文を作成したいとき

まとめ

変数集約ブロックは、Difyでの複雑なワークフロー設計をシンプルにするための強力なツールです。複数の処理経路を統合し、後続の処理をスムーズに行うために欠かせません。

Difyの変数集約器ブロックを活用することで、AIアプリケーションの開発やデータ処理の効率をさらに向上させることができます。ぜひワークフローの設計に取り入れて、より効率的なAIアプリケーション開発を実現しましょう。

変数集約ブロックの魅力

  • 複雑なワークフローをシンプルに
  • 統一された変数名で後続処理が容易に
  • ワークフローの可読性と保守性が向上
  • 他のブロックとの組み合わせで可能性が広がる

Difyを使ったノーコード開発の世界を広げ、より複雑で高度なAIアプリケーションを簡単に作成していきましょう!

会社紹介

運営:株式会社Spovisor(スポバイザー)

株式会社Spovisorではノーコード・ローコードツールを使ったシステム開発、アプリ開発を実施しています。
要件定義から伴走して支援し、安価・スピーディー・柔軟な開発を行います。無料でご相談もお受けしております。