1. 日米スタートアップ企業の定義
- 日本
- 革新的な技術やビジネスモデルで社会・経済にインパクトを与える設立間もない企業
- ベンチャーキャピタル等からの投資を受け入れつつ、急成長を志向する企業
- 新規事業創出やイノベーションを目的とする企業
- アメリカ
- スケーラブルなビジネスモデルを探求・開発・検証する起業家によって設立された企業
- 独自の製品やサービスを市場に投入し、急速な成長を目指す企業
- 既存の枠にとらわれず、新たな価値や働き方を創造する企業
2. ノーコードツールの概要と市場規模
- 世界市場の成長
- ノーコード市場は2027年までに約830億~850億米ドルに達する予測
- AIを活用したノーコードプラットフォーム(No-Code AI)の分野が特に拡大傾向
- 日本市場
- グランドビューリサーチの調査によると、日本のノーコードプラットフォーム市場は2030年までに10億1,530万米ドルに達すると予測
- フィデルテックのレポートでは、開発期間短縮、アクセシビリティ向上、柔軟性向上、レガシーメンテナンスコスト削減などが採用理由として挙げられる
- Yappliなど、モバイルアプリ開発を中心にノーコードの活用が増加
- アメリカ市場
- Zapierの調査では、カスタムアプリの約60%がIT部門以外でノーコードまたはローコードを利用 (2022年)
- Bubbleの調査では、スタートアップ創業者の80%がノーコードツールを使用して資金調達を計画
- UserGuidingの調査では、84%の企業がITリソース負担軽減や市場投入時間短縮などを目的にノーコード/ローコードを採用
3. 日米におけるノーコードツールの利用状況比較
比較項目 | 日本 | アメリカ |
---|---|---|
ノーコードツールの認知度 | 向上しつつある | 高い |
利用率 | まだ限定的 | 高い |
主な利用分野 | AI、モバイルアプリ開発中心 | ビジネス全般 |
今後の展望 | IT人材不足やコスト増の背景で普及加速 | 既に主流化しつつあり、更なる拡大 |
4. 利用状況に影響を与える要因
- IT人材の不足度合い
- アメリカ: 深刻なIT人材不足 → ノーコード普及の後押し
- 日本: アメリカほど深刻ではない → 必要性が相対的に低い認識
- 開発コスト
- アメリカ: 人件費が高い → ノーコードによるコストメリットが大きい
- 日本: 人件費が比較的安価 → メリットが相対的に小さく導入インパクトが弱い
- リスク許容度
- アメリカ: 新技術への積極導入やスピード感重視
- 日本: リスク回避的・伝統的開発手法重視の傾向が残る
- 企業文化
- アメリカ: 効率性・スピードを重視する文化が定着
- 日本: 既存プロセスや品質重視、変化への慎重さ
- 市民開発者(ノンエンジニア)の増加
- ノーコードはプログラミング経験の少ない人でも社内向けツールやアプリを構築可能
- アメリカでは市民開発者の活躍が顕著 → 組織全体でノーコード活用が進む
- 日本ではまだ導入事例が限定的
5. 日米の専門家・起業家の事例
- 日本の事例
- AI分野やモバイルアプリ分野でのノーコード活用が見られる
- 資金不足のスタートアップが京都へ拠点を移し、ノーコードで新サービスを立ち上げた事例 (Notion開発の背景エピソード等)
- Zapier、Integromatなどの自動化ツールを使った業務効率化エージェンシーが増加
- アメリカの事例
- ノーコードを使ってAIモデル開発支援、教育プラットフォーム構築、Shopifyアプリ開発など、多岐にわたる領域でノーコードが利用
- ノーコードツールだけで月1万ドル以上の定期収益(MRR)を得るSaaSを運営しているケース
- プログラミング知識なしで起業し、大きな成果を出す事例が数多く紹介
6. 今後の展望
- さらなる技術進化
- AIや機械学習との連携強化 → 高度なアプリケーションがノーコードで開発可能に
- カスタマイズ性や拡張機能の充実 → 従来の開発を補完・代替するレベルへの進化
- ノーコード開発が主流化
- 2024年にはアプリ開発の65%以上がノーコード/ローコードになる予測 (UserGuiding等の調査)
- 市民開発者の増加により、IT部門外でもノーコード開発が一般化
- スタートアップ企業創出の促進
- 非エンジニアがビジネスアイデアを低コスト・短期間で具体化しやすくなる → 起業・イノベーション活性化
- 日本の課題と期待
- リスク回避的な文化や人件費の問題など課題は残るが、IT人材不足や開発コスト増大に伴い普及が加速する見通し
- スタートアップ企業においてもプロトタイプ迅速化・検証サイクル短縮が重要となり、ノーコードツールの活用が拡大する可能性が高い
7. 結論
- アメリカ
- 既にノーコードツールが幅広く認知・活用されており、サービス開発やMVP(Minimum Viable Product)構築がスピーディ。高いリスク許容度・高額人件費が背景となり、ノーコードはスタートアップにとって有効な開発手法となっている。
- 日本
- まだ認知度・導入率共に限定的ではあるものの、AI分野やモバイルアプリ開発など、特定分野から徐々に普及中。IT人材不足や開発効率化のニーズを背景に普及が加速すると見られ、今後の市場拡大が期待される。
- 総合的な見解
- ノーコードツールは開発コストや期間の短縮、デジタル推進の加速に寄与し、スタートアップ企業の競争力・イノベーション創出をサポートする重要な存在。
- 日米間には利用率や文化的な差異があるが、日本でも今後はノーコードツール導入が進むことで、スタートアップエコシステムの活性化が期待される。
以上が、日米スタートアップ企業におけるノーコードツール利用状況の比較および要点のまとめです。今後は、AIとの融合や機能進化が進むことで、より幅広い産業・規模の企業がノーコードを取り入れ、ビジネス成長を加速させる可能性があります。
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